早分かり組技格闘技

組技格闘技とは？

組技系格闘技とは、相手を投げる、抑える、関節を極める、絞めるといった要素を主とした格闘技 の総称です。代表的な競技の柔道やレスリングを筆頭に世界にはさまざまな組技系格闘技が存在しています。 それらについて詳しくは『世界の組技系格闘技』をご覧ください。

組技系格闘技の利点

1993年に、アルティメット大会が初めて開かれました。これは目を突いたり、噛み付いたりする以外 、何をしても良いという喧嘩とほぼ同じルールで行われる大会でした。この大会の前まで、多くの人は ボクシングや空手などの強力なパンチとキックを持っている選手が一撃で相手を倒すのだと考えていました。喧嘩で通用するのは 打撃系の技術だと考えられていたのです。しかし、蓋を開けてみると試合の展開は寝技がほとんどだったのです。殴り合いから始まる試合 も、すぐに組み合った状態になり、そのままお互いに倒れ寝技に入る。そして寝技の技量の高い組技系の選手が相手を好きなように料理するというものでした。 そしてまた、PRIDEなどの総合格闘技を見たことのある方なら、試合の大半が寝技の攻防であることにお気づきになるでしょう。これだけ組技系格闘技 は、ノールールの戦いに密接にかかわっているのです。 ではそのような戦いにおいて、組技系格闘技にはどのような利点があるのでしょうか？

自分有利で相手不利な状態を作れる

寝技に持ち込むということは、自分の実力を最大限に発揮するということになります。何故なら、寝技は経験と実力で、 ほぼ勝負が決まるからです。相手に組技の経験がない場合などはなおさらそうなります。
また、寝技に持ち込むということは、相手の実力を最小限にするということでもあります。どんな強力なパンチやキックを持っていても、抱きつかれたり、寝技に持ち込まれていれば効果を発揮しません。

勝負を終らせる極め技がある

打撃での戦いで勝つためには相手が動けなくなるまで殴り続けなければなりません。時間はかかるし、確実ではなく、自分の拳に 深刻なダメージを受けてしまう可能性があります。また必ず相手の生命にダメージを与えてしまいます。よっぽど特別な場合を除いては、そんなことをすることは許されません。 しかしながら、組技では相手を抑え込み動けなくすることや、関節を取って骨を折ること、絞めて気絶させることができます（しかしそのまま絞め続ければ生命にダメージを与えることになります）。そしてそれが嫌なら相手はギブアップすることができます。こうすることにより、迅速に、確実に、安全に相手の戦闘能力を奪うことができます。 これらの極め技を使えば、相手の生命にダメージを与えることも、与えずに勝つことも自由自在なのです。また生命にダメージとまではいかなくても、関節技で相手がギブアップせず、骨を折りたくないという時などは絞めに切り替え、気絶させてしまうということもできるのです。

柔よく剛を制することができる

アルティメット大会で、組技系の選手が勝っていく中でまず驚かれたことは、他の格闘家に比べ体格が小柄だったという点でした。小柄にもかかわらず何故勝利を手にしていくことができたのでしょうか？その答えは、寝技にあります。寝技はいったん入ってしまえば、体重差や体格差がほとんど影響しなくなります。組技において勝ち負けを決めるのは力ではなく技術なのです。 また、アルティメット大会でもう一つ衝撃を与えたことは相手に対し下からの攻めでした。それまでは誰もが組み伏せ上になった者が勝つものだと考えていました。しかし組技選手は自分から下になり、決め技で相手を仕留めていったのです。そこには、格闘技の理想である、柔よく剛を制すが存在するように思えます。

全力の練習ができる

リアルファイトで勝つための練習をするさい、急所への打撃や相手が動けなくなるまでの打撃（とどめをさす）をすることは危険のためできません。急所への打撃は置いといたとしても、実践において最重要とも言えるとどめをさす技術を練習できないということはマイナス面が非常に大きいです。何故なら、実践でとどめをさすことがぶっつけ本番になってしまうからです。全力でかかってくる相手と対する本番ではその経験の欠如は大きく、危険性を含んでいます。 それに対し、組技はどうでしょうか？実は組技の練習はとても効率がいいのです。相手を傷つける心配のない組技は気を使わず全力で練習できます。これは実力の向上にも有効です。また、極め技のもつ大きな危険も、ギブアップすることによって回避することができます。サブミッションは、極まることが直結して相手の戦闘不能につながるので、それ以上の戦いはありません。なにせギブアップをした段階でとどめをさしたことになるのですから。このようなことから組技の練習はとても効率がよいといえます。